<バークレー出産情報>
−無保険で出産する場合−

 

SSINN OB である古瀬さんから情報を頂きました。

◇医療費および医療保険について

 アメリカのほぼすべての医療保険は妊娠を既往症扱いしますので,妊娠してから渡米した場合,出産前の検診や出産にかかる費用をカヴァーする医療保険に入ることはきわめてむずかしいでしょう.産婦人科での検診は1回100ドル程度,出産費用については普通分娩で15,000ドル,帝王切開で40,000ドル程度かかります(正確な費用については病院に問い合わせてください).
 民間の医療保険に加入できない場合に,高額な医療費を負担せずにバークレーで出産する手段として,ここでは,1) Medi-Calに申請する,2) 助産師に検診・分娩を依頼し自宅出産する,という2つを紹介していきます.

◇Medi-Calへの申請について

  Medi-Calはカリフォルニア州の低所得者向けの保険です.収入の制限がありますが,妊娠してからも加入できる保険なので,書類作業が面倒でなければダメモトで申請してみる価値はあるでしょう.執筆者は運よくMedi-Calを利用することができました.利用することができたプランは,出産前に母親が加入者となる妊娠・出産費用と1ヶ月未満の新生児の医療費のみがカヴァーされるプランと,出産後に子どもが加入者となる1歳までの医療費がカヴァーされるプランでした.これらのプランだと比較的審査に通りやすいのかもしれません.Medi-Calの審査に通れば,Medi-Calが適用される医師・助産師の費用がカヴァーされます(どれくらいカヴァーされるかは医師・助産師によって異なるかもしれませんので確認してください.なお,執筆者が依頼した助産師はMedi-Calを受けつけていませんでしたので,Medi-Calは子どもの検診費用に対してのみ使用することになりました).
  申請方法は,申請書類に必要事項を記入し,添付書類としてID(外国人なので夫婦のパスポートとビザのコピー)と収入証明,居住証明,妊娠証明を用意して,カウンティの事務所に送付するか,自分でもっていきます.申請書類やパンフレットは以下のウェブサイトからダウンロードできます.
http://www.dhcs.ca.gov/services/medi-cal/Pages/MediCalApplications.aspx
  El Cerritoに住んでいる方はContra Costa Countyの事務所に,AlbanyやBerkeleyに住んでいる方はAlameda Countyの事務所に提出します.それぞれの事務所の住所も上のウェブサイトで確認できます.直接書類を持っていく場合は,Contra Costaの場合は下の住所にある事務所で受け付けています.
    Contra Costa County Employment Human Services: 
        1305 MacDonald Ave. Richmond, CA 94801. tel: 510-412-3000 
  Alamedaに居住している場合については,Life Long Medical CareでWest Berkeley Family Practiceというコミュニティ・クリニックの利用登録とMedi-Calの受付もしています.こちらに申請するほうが正規の事務所に申請するよりも審査が早いそうです.
    Life Long Medical Care: http://lifelongmedical.org/
            Member Service Department
            2344 6th Street, Berkeley, CA, 94710. tel: 510-704-6010
      *アポイントをとったほうが手続きがスムーズ.
         West Berkeley Family Practice
          2031 6th Street, Berkeley, CA, 94710. tel: 510-704-6000
書類を郵送した場合,45日以内で審査結果がわかります.もし,急ぐ場合には,直接事務所に書類をもっていくほうがいいようです(執筆者のケースだと書類は郵送しましたが,1ヶ月以内で審査結果がわかりました.出産予定日が近かったことも関係したのかもしれません).
出産後は子どもを加入者としてMedi-Calに申請することも可能です.母親を加入者とした申請が通っている場合,オフィスの担当者に電話すれば,申請用紙を送ってくれます.申請用紙と子どもの出生証明書(執筆者のケースでは,まだ出生登録が済んでいなかったので,助産師が発行する署名入りのレターを送りました)を郵送します.

◇助産師について

 Medi-Calが使用できない場合には,助産師に検診・分娩を依頼すると費用を低く抑えることができます.バークレーだと産前産後の検診と分娩をふくめて4,000ドルというのが相場のようです.助産師によってはMedi-Calが使えたり,支払い能力に応じてディスカウントしてくれる人もいます.助産師のなかには,病院での分娩と自宅での分娩の両方を引き受けている人,自宅での分娩だけを引き受けている人がいますので,希望にあわせて助産師を選べばよいでしょう.多くの場合は助産師による検診は妊婦の自宅で行い,産後は6週間まで母親と子どもの検診をしてくれます.病院に行くことなく検診を受けられるのは助産師を利用するひとつのメリットといえるでしょう.
Berkeley Parents Networkのウェブサイトではイーストベイの助産師が紹介されています.バークレー周辺だと10人くらいはいるようです.そのなかからバークレー市内にオフィスがあり,かつ,ウェブサイトを開設している助産師のみをここで紹介したいと思います.
http://parents.berkeley.edu/recommend/medical/midwife.html

Judy Luce: Womancare Home Midwifery
助産師歴30年以上のベテラン.日本人の自宅出産も引き受けた経験がある.
Tell: 510-428-1419 / Cell: 510-684-2157
jluce.midwife@gmail.com
1515 Fairview St., Berkeley, CA 94730
http://www.judylucehomebirth.com/index.html 

Jeri Zukoski: New Life Midwifery
 助産師歴20年以上.出産費用は保険(Medi-Calも含む)でカヴァーできる.この助産師のほかにも保険が使える助産師もおり,Berkeley Parents Networkのサイトで確認することができる.この助産師は自宅出産も引き受けているが,どちらかといえばAlta Batesでの出産を勧めている.この助産師は自分のオフィスを持っているので,ここで産前・産後の検診を行うことになると思います.
Tell: 510-530-3374
riverbootiez@comcast.net 
2107 Dwight Way, Suite #102, Berkeley, CA 94704
http://jerizukoski.com/ 

Maura Daly: Nest Midwifery
 執筆者が依頼した助産師.助産師歴10年くらい.自宅出産のみを引き受けている.はじめの面接は助産師の自宅で行い,その後の検診はすべて妊婦の自宅で行う.助産師のRachaがパートナーとしてすべての検診・出産に同行する.なお,彼女はMisoという猫を飼っているので,猫好きな方は対面を楽しみにして,猫アレルギーのある方はその旨を事前に伝えておくとよいでしょう.
 Tell: 551-804-1215
 nestmidwifery@gmail.com
 http://www.nestmidwifery.com/

Racha Tahani Gossett: Traditional Roots Midwifery Services
  Mauraのパートナー.
Tell: 510-647-9054
racha@traditionalrootsmidwifery.com
 http://www.traditionalrootsmidwifery.com/index.html

◇小児科について

 小児科は出産する前に決めておくことが望ましいでしょう.特に自宅出産をする場合には,小児科を決めておくと安心です.なお,小児科医との面接には数十ドルかかります.
 私たちは,Kiwi pediatricsを選びました.産後もその日に自宅まで来てくれて,子どもの健康状態をチェックしてくれました.
 Kiwi pediatrics
  1178 San Pablo Avenue, Berkeley
  510-524-9400

◇出産後の事務手続き

1.アメリカ政府への出生届
以下に続く諸手続きをするためには,まずはじめにアメリカ政府への出生登録を済ませなければなりません.ここでは,執筆者が住んでいたContra Costa Countyでの手続きを前提にまとめていきます(El CerritoはContra Costa,BerkeleyやAlbanyはAlameda Countyに出生届を出します).
出生届をするためには,産前にオフィスに電話をして,必要書類を送ってもらうと便利です.執筆者は助産師さんから書類をもらいましたが,それ以外の書類も必要だったことが産後にわかりましたので,オフィスに事前に連絡をしておくほうがよいでしょう.子どもが生まれた後に,再びオフィスに電話をして出生届の予約をします.自宅出産をした場合の出生届の受付はContra Costaのオフィスでは毎週木曜日とのことでした.書類の書き方については助産師さんが教えてくれるはずです.
出生届の際に必要なものは以下のとおりです.
1) 必要書類
2) 両親のID(パスポートなど),
3) 両親,もしくは片親とその他親族など
4) 赤ちゃん
助産師さんが事務所についてきてくれて書類にサインをしてくれれば赤ちゃんは必要ないですが,そうでない場合には,赤ちゃんが生きていることを示すために同伴しなければなりません.
出生届をして出生証明書をもらうまで1ヶ月くらいかかるとどこかのサイトでみたのですが,Contra Costa Countyのオフィスでは当日すぐに証明書をもらうことができました.Alameda Countyでは,やはり1ヶ月くらいかかるみたいです.1通20ドルで,現金かチェックしか受け付けていません.出生証明書は1通あれば十分ですが,紛失したときの手間などを考えると,2通もらっておくとよいと思います.
 Contra Costa County Office of Vital Record/Statistics
826 Main Street, Martinez, CA, 94553
Tel; 925-646-2517
El Cerritoからだとフリーウェイ(80号→4号)をつかえば30分くらいで着きます.Main Streetはきれいな通りで,自宅出産の登録を受け付けている木曜日にはファーマーズ・マーケットも開かれています.

2.日本政府への出生届
日本国籍を保留するためには日本政府に出生届を提出しなければなりません.出生後3ヶ月以内での届出が義務付けられています.サンフランシスコ領事館 に届け出ます.必要書類は直接取りに行ってもいいですし,返信用の封筒を送れば領事館から郵送してもらえます.
出生届のために必要なのは,
1) 出生届 2通
2) Birth Certificate 2通(1通は原本)
3) Birth Certificateの和訳文(フォーマットは領事館のウェブサイトにあります)
領事館のウェブサイトには上のように書いてありますが,Birth Certificateについては原本を1通もっていくと,その場でコピーしてくれ,原本を返して貰えました.
サンフランシスコ領事館:http://www.sf.us.emb-japan.go.jp/jp/m03_02_01.htm
出生届を出してから1−2ヶ月すると,日本の戸籍に子どもが記載されます.子どもが記載された戸籍謄本を日本から取り寄せたのちに日本のパスポートの申請をすることができます.

3.ソーシャル・セキュリティ・ナンバー
 ソーシャル・セキュリティ・ナンバーの申請は病院で出産した場合は係りの人が病室に来てくれて申請を済ませてくれるそうですが,自宅出産をした場合にはオフィスに出向いて申請しなければなりません.
必要なものは以下のとおり.
1) 申請用紙
2) Birth Certificate 1通(その場で返してもらえます)
3) その他のID:医師や助産師の署名入りレター,予防接種の記録など
4) 代理申請者(親)のID
 申請してから1ヶ月以内でSSNが発行されます.

4.アメリカのパスポート
アメリカのパスポートは郵便局 で申請することができます.ただし,すべての郵便局で受け付けているわけではないのでウェブサイトなどで事前に確認することが必要です.El CerritoのSan Pablo沿いにある郵便局ではパスポートの申請を受け付けています.
パスポートの申請に必要なのは以下のとおり.
1) 申請書類(アメリカ政府のサイトからダウンロードできる ) 1枚
2) Birth Certificate 1通
3) パスポート用写真 2枚
4) ソーシャル・セキュリティ・ナンバー
5) 両親(片方だけだと事前に別の書類を準備しなければならないので面倒)
 申請後1ヶ月ほどでパスポートが送られてきます.
http://travel.state.gov/passport/get/minors/minors_834.html
 ここから申請書のダウンロードや,申請を受け付けている郵便局も確認できます.

5.日本のパスポート 
日本のパスポートの申請が最後の作業です.これもサンフランシスコ領事館で申請します.
必要なものは,
1) 申請書類 1枚
2) 戸籍謄本もしくは抄本 1通
3) 写真 1枚
4) Birth Certificate またはアメリカのパスポート
手数料は53ドル(現金かマネーオーダーのみ)で,領事館で受け取りし,その際には子どもが同伴する必要があります.申請から1週間でパスポートが発行されます.